2024年の末の時点で新宿駅西口は、大規模再開発されることが決まっている。
すでに小田急百貨店は取り壊され、京王百貨店も近々取り壊されて、両方とも建て替えられる計画になっている。
ならば取り壊される前に、京王百貨店に行ってみようと考えた。
京王百貨店 新宿店のフロアマップ。昭和時代から続く、典型的なデパートのフロア構成だ。
令和時代の今は、このフロア構成でデパートを存続させるのは難しいと言われている。時代の流れにそぐわないというのだ。
現に全国で多くのデパートがつぶれ、残ったデパートもフロアを丸ごと他店(家電量販店やファストファッションなど)に貸したり売却したりして生き残っていると聞く。
そんななか、昔のスタイルで営業を続けている京王百貨店は、いまや珍しい存在になってしまった。
屋上には、観葉植物や、観賞魚が売られていた。昭和時代には、どこのデパートでも見られた光景だ。
訪れたのが2024年の12月上旬だったせいか、観葉植物コーナーではクリスマスで使うリースが売られていた
観賞魚コーナーでは金魚や熱帯魚のみならず、錦鯉も売られていた。
リースにしろ錦鯉にしろ、ホームセンターではなかなか見かけない。このようにデパートは、庶民にプチぜいたくを提案する場としてこれまで機能してきたのだ。
それが機能しなくなったわけだから、世間では日本が貧しくなったとさかんに言われているのだろう、おそらく。
そんなせいか、屋上で飾られているクリスマスツリーも、どこか寂しげに見える
記念として、屋上の360度動画を撮ることにする。このように屋上の雰囲気は、クリスマス前ではあるけれど、クリスマス前にあるような高揚感はない。どこか寂しげだ。
もっとも海外では、クリスマスは静かに過ごすものだと言われているので、これが本来のクリスマスの姿なのかもしれない。
屋上から8階に降りると、レストランコーナーがあった。
このレストランでは和洋中のメニューが揃っている。和洋中のメニューが揃ったレストランがあるのも、デパートの醍醐味と言える。
7階にはおもちゃコーナーがあった。デパートの店員が目利きした、魅力的なおもちゃが並ぶ。
子どもはおもちゃコーナーのおもちゃをねだって泣きじゃくって親を困らせ、親のほうもそれを見越しておもちゃコーナーを避けて通る、そんな風物詩も、昭和時代のデパートでは普通にみられた。今もそうなのだろうか。
同じ7階にはさらに鉄道模型のコーナーもあった。Nゲージの大きなジオラマが、まるで通行人にアピールするように組まれている。京王デパートの模型もある。
狭い東京の家屋では、Nゲージの鉄道模型を組んで遊ぶのは至難の業だ。きっと子どもたちを魅了したにちがいない。まさに夢の空間と言えよう。
降りてゆく階段も、どこか昭和時代の雰囲気がある。たぶん開業当時(1964年)の内装も多く残っているのだろう。ただ、床材はリノリウムタイルではなく、最新のセラミックタイルっぽい。
さらに地下まで降りると、新和そばという名の立ち食いそば屋があった。天玉そばを注文する。普通盛りで税込み520円。
ここの立ち食いそば屋は、昭和時代の味そのままの味だった。そばはやわらかめで、天ぷらもしなしなで、懐かしい味がする。コシのあるそばと、さくさくの天ぷらを出す今どきの立ち食いそば屋もいいけれど、新和そばも悪くない。
〒160-8321 東京都新宿区西新宿1-1-4
Webサイト
訪問日 2024年12月の平日 16:00ごろ
再訪問度 ★★